最短路問題とポテンシャル
結論
をポテンシャルとして の最大値を求める問題は、 を始点としてへの最短路長を求める問題の双対問題(dual problem)となる。
前提
線形計画問題(以下 LP ):
- の行列
- 次元のベクタ
- 次元のベクタ
が与えられ、 の制約下において、 objective function を最大化する 次元のベクタ を求める問題。
ポテンシャル
以下のグラフを LP で定式化することを考える。
それぞれの辺がどの頂点を繋いでいるのかを表現した 行列 を用意する。 辺 について 列 , 列 , それ以外の要素を 埋めして表現する。
さらに、
- それぞれの頂点への到達コストを、 次元のベクタ
- それぞれの辺のコスト を、 次元のベクタ
とする。
これらを元として、このグラフは、次のように定式化することができる。
分解すると次のようになる。
この制約は何を意味するか。
たとえば、 を例とすると、 「 への到達コストは、 に、からへの経路のコストを足し合わせたもの 以下になる」ことを意味する。
の制約を満たす の解の1つに、 が考えられる。
他にも、 など、複数の解が考えられるだろう。
この、 の制約を満たす解の組み合わせ、 具体的には
- 任意の に対して、 を満たすような
のことを ポテンシャル と呼ぶ。
参考にした書籍でわかりやすかった説明を引用する。
各節点間がピンと張られているとは限らない場合において、各節点の位置関係としてありうるものをポテンシャルと呼びます。より正確には、各頂点 に対して値 が定まっているとき、任意の辺 に対して、 を満たすような のことをポテンシャルと呼びます。
最短路問題とポテンシャル
実は、点 から 点 への最短路(最小コストで到達できる経路)を求める問題は、 の最大値を求める問題の双対問題(dual problem)となっている。
すなわち、以下の命題が成立する。
頂点 から 頂点 へ到達可能な時、 から への最小コスト
証明
始点 から頂点 への任意の路 に対して、
が成立する。 これが任意の路 、ポテンシャル に対して成り立つことから、
となる。